Is the Netbook the blue ocean?

今日は、秋晴れの文化の日、とはなりませんでしたが、一昨日は木枯らし1号が澄んだ空気を運んで来て、非常に遠景が綺麗でしたし、公園に行けば、銀杏や柿のにおいが立ち込め、コスモスもまだまだ綺麗な盛りで、秋らしさを満喫できた3連休でした。
さて、Netbookと名づけられたサブノートPCが人気を得て、ノートPC市場の20%にまでシェアを伸ばしたとのことです。(ネットブックの販売が好調。ノートPC市場の5分の1を占有)。  ここまで成長してくると、今までにサブノートとして、何度も話題になっては廃れていった状況とは、違う現象が起きていることを認めざるを得ません。いろいろ周辺市場も立ち上がり、ソフトウェア等も充実してくるでしょうから、さらに使い易くなり、多くの人に手ごろになるという好循環が起こり始めるからです。このクリスマスの話題をさらっていくことでしょう。では、Netbookとは何なのでしょうか?今までのサブノートと何が違うのでしょうか?
まず、特徴はお値段でしょう。5万円前後、安いものだと3万円台もある様です。ただ、Netbookのブームが日本より先に起こったアメリカや欧州では、特売品で、これくらいのお値段で、もっと性能の高いノートPCも出てましたから、値段が決め手とまではいかないと思います。いつもこの値段で手に入るPCがあるということは、魅力ですが、宿題をしたり、仕事の残りをしたり、インターネットをしたりすることを考えれば、決して安ければ小さくても良いという買い物では無い筈なので、10インチ以上のパネルサイズを持ったPCとの比較で、安価なPCと見られている訳では無いだろうと考えています。
そこで、次に挙げられるのは携帯性でしょう。小型です。液晶も小さいし、バッテリも小さいので駆動時間も短い。でも、大抵の鞄の中に問題無く入ってかさばらない。12インチや14インチのPCだと迷うところを、このサイズだと、割と気楽に携行することを決断できるでしょう。実は、重さは1kgを越える位なので、今までのマーケティングの傾向から言うと、(特に女性ユーザから)まだ不満の出る重さだと思うのですが、ここで、お値段の安さが諦めを誘う、あるいは、12インチ、14インチと較べれば。という、比較論からの納得が起こる、のでしょう。
記事にもある様に、PC全体の売上が伸びていて、NetbookがノートPCの市場を侵蝕するのではなく、それとは別に発生・成長している感が大きいところを見ても、2台目PC目的で購入しているユーザが多いのではないかと思います。2台目なら、機能が限られていても我慢できるし、値段が手頃であれば、なおさら気軽に購入できます。ユーザのニーズを理解し、機能を極限まで(?)削ぎ落とし、コストも落とした新商品で、新しい市場を広げているのは、ブルーオーシャン戦略の基本に沿っている様にも見えます。また、その視点で市場を理解すると、OLPC/$100PCとも違う市場が掘り起こされつつあるといえます。
ただ、懐疑的な私は、このまま順調に、Netbook市場が伸びていくのかについて、依然、大きな疑問を持っています。というのは、携行する目的が、例えばビジネスユーザなら、お客さまのところへ出かけるのに、プレゼンのファイルを入れて行く、行った先でメールとインターネットするのに使う、それぐらいだから、Netbookで十分、という論法だとすると、今のスマートフォンと、あまりユースケース・ユーザシナリオが違わず、競争状態に入ってしまうと考えるからです。そうすると、スマートフォン一台持つのと、普通ケータイとNetbookの2つ持つのはどちらが良いか、で、ケータイの更なる発達・発展を考えると、Netbookにはバラ色の将来ばかりでは無いでしょう。そこで、そこから離れて差別化しようとすると、今度は限りなく普通のノートPCへ近づいてしまうことになり、それはユーザにとってはあまり魅力的なこととは思えません。
まだまだ考えきれていないと感じていますが、今日のところの結論は、Netbookは、スマートフォンが大きすぎて普段から持ち歩くのには適していないと思う人が、普通ケータイの機能を補うために携行するPCであり、やはりサブノートPCであってノートPCの代わりになる訳では無い、と、いう位です。でも、これでUMPC=Netbookになってしまったと言えると思います。あと、上の方でNetbook市場はブルーオーシャン的だと書きましたが、それは市場の立ち上がり方だけで、市場が差異化技術等により守られていませんから、立ち上がり後は、すぐに競争相手から類似商品を持ち込まれ、たちまち市場が過酷な競争状態になると思われます。それでも、市場を興したASUSにしてみれば、その名を世界中に広めることができ、約1年間はそれなりの売上を実現できたわけですから、そのチャレンジに対して、十分得るものはあったと思います。