Transformation

米巨大投資ファンドのある幹部はかねて、こう話している。「1990年代の初めが日本にとって米国を抜くチャンスだった」。当時は日本の国内総生産(GDP)が500兆円前後、米国はそれを少し上回るだけの状況にあった。だが、バブル崩壊から24年がたち、米国のGDPは3倍以上に膨張。日本はほぼ同じ規模でなお伸び悩んでいる。

 米上場企業の過去20年間の時価総額ランキングをながめてみると、その理由がよくわかる。90年代に上位5社を独占していた石油大手やゼネラル・エレクトリック(GE)などの名前は21世紀に入って徐々に消えていく。代わりに登場するのがマイクロソフトやアップル、グーグルだ。

 そのハイテク勢も入れ替わる兆しだ。マイクロソフトは巻き返しの旗印だった「ウインドウズ8」が低調、アップルも金城湯池スマートフォンスマホ)やタブレット(多機能携帯端末)がグーグルの猛烈な攻撃にさらされている。


日本企業に必要な「異次元の成長戦略」  編集委員 中山淳史
2013/6/5 7:00日本経済新聞 電子版