Concept of values

今年も、まずはCESが終わったというのに、関連ニュースのブックマークを、全くしていません。ニュースの量は今年も増えていると思うのですが、興味をひく話題が少ないのです。
Valuesと複数にするだけで(望ましい)価値観・価値基準みたいな意味が出てくるようです。価値観に対する議論は多く、いろいろ読みますが、今回は、新聞で月尾さんへのインタビュー「豊かさのV字回復 月尾嘉男さんに聞く
縮小の叡智を生かそう 「便利で贅沢」見直す」を見つけました。全部引用したいところですが、一部だけ。

「社会は時間とともに進歩するという西欧的な進歩史観は、無限の資源と環境が条件ですが、資源も環境も有限です。拡大一方の『進歩史観信仰』をそろそろ見直す時期に来ていると思います」

新たな価値観へ目標の大転換を

 米国のジャーナリスト、ダグラス・マグレイは02年、日本は建築やゲーム、音楽、和食など経済指標では表せない文化力があり、これを国力とする「グロス・ナショナル・クール」(GNC)を目指すべきだと指摘した。クールは「格好いい」という意味だ。人口が減少していく日本は、国内総生産(GDP)に代わる新たな尺度で国際社会に貢献する道を探るべきだ。

 「環境破綻に直面している人類には、文明を縮小させる叡知(えいち)が求められます。日本はもともと縮小の叡知にたけた国です。例えば、『縮み志向の日本人』(李御寧著)でも指摘されましたが、扇子や坪庭など日本は物事を縮小するのが得意です。客をもてなすときも、小さな茶室で応接します。茶釜は金、茶水は水、炭火は火、茶碗(わん)は土、抹茶は木。茶道は宇宙を構成する五大要素を一碗の中に収めています」


(日本経済新聞 2013年1月12日(土)夕刊)

月尾さんが、おっしゃりたいところの中で、「資源も環境も有限です」というところは、全く賛成です。そこで、「文明を縮小させる叡知」になる訳ですが、私はそこで迷子になってしまいます。
私は、人間には生きるために、頑張りたい、あるいは、何か達成・進歩することに生き甲斐を見出す性質があると、思います。GNCは、初めて知りましたが、「クール」を進歩させることを促進しやすくする工夫として、或いは、進歩を実感するために指標が必要、という意味で、いかにもアメリカ的な発想として、理解できます。そういう観点で、ある意味での「進歩史観」は、人間の性質だと思います。「文明」の定義の問題かも知れませんが、人間は能力や生活、つまり文明を拡大し続けたいものなのだと思うのです。そして、その欲を満たせない価値観は、受け入れられないのではないでしょうか。
遊牧民等の話の例が出ていました。彼らは、地球への負担は増やしていないのでしょうが、進歩・発展はしていると思うのです。そこのお話を、是非していただきたかった。